悪魔の運動会


【安藤直人】


【シャッフル】


軽やかで楽しそうな言葉なのに、今の俺たちにとってはなんて残酷なんだろう。


これまで前半戦を共に戦ってきた仲間が、ほぼ居なくなって。


前の紅組で残ったのは、寺脇リカと笠井周平のみ。


代わりに白組だった、立花薫と伊藤明日香が紅組となった。


去り際、相原はまた泣いていたし、旬も切なげな顔をしていた。


「涼子を頼む」


ただそれだけ旬に言っただけだ。


この無意味なシャッフルとやらも、涼子のことを思えば悪いもんじゃないと言い聞かせることができる。


涼子はずっと、こんな寂しい気持ちだったんだ__。


あの2人が白組になることで、その穴が埋められるならいい。


できることなら、俺自身が埋めてやりたかったが。


「ちょっといい?」


ヌッと現れたのは、誰よりも大きい立花薫。


正直、立花が来てくれたのは大きい。おそらく、これまで白組のリードを握っていたはずだ。運動能力が高く、冷静な印象がある。


「圧倒的に不利よ。向こうには戸田と野々村が居る。美咲も意外に足が速いし、そこに間宮が加わった。それなのにうちは__」


と、立花は全員の顔を見回したが、ピタリとあるところで止まった。


寺脇リカだ。




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