悪魔の運動会


「な、なによ⁉︎」


憤慨するリカを全く無視して、立花は俺に詰め寄る。


「私の言いたいこと、分かるでしょ?安藤、あんたには気の毒だけど、私は負けたくない。勝つにはこれから、間宮や相原さんと戦わなくちゃならない。体力では断然、向こうに劣る。それなら戦略しかない。2人の考えを見抜いて欺いて__裏切るようなこと、あんたにできる?」


「それは__」


すぐにできるとは、答えられなかった。


あの2人と争うなんてこと、想像もしていなかった。共に力を合わせてこのピンチを乗り越える、あの2人がいつも側で支えてくれていたから、力が湧いてきた。


勝つことによって、相原か旬のどちらかが失格者となるかもしれない。


でも、でも__。


「できる。それを言うなら、涼子は最初から向こうチームだった。今度も一緒になれなかったけど」


最後の愚痴っぽいものは置いておいて、俺にとって2人は大切だ。


だが同じように、目の前の立花も、戦力とはなり難い寺脇リカも、みんな大事だからだ。


戦えば戦うだけ、その大事なものは奪われていく。


それでもいつか終わる時がくる。


それは全てが無くなった時なのか、この悪魔のような運動会が夢となって醒める時なのか、俺には分からない。


それでも戦わないといけない。


それでも__。



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