悪魔の運動会
【間宮旬】
白組の教室に入ると、真っ先に奴が絡んできた。
「お前とは徹底的にやりたかったのに、まさか同じ組になるとはな」
腕組みをし、長い足を机の上に放り出している戸田裕貴のお出迎えを、俺は無視する。
真っ直ぐに木崎涼子の元へと向かった。
「大丈夫か?直人が、木崎のこと頼むって」
「直人が?逆に1人になったのに?」
力なく笑った涼子。
またしても2人は離れ離れだ。
「安藤くんなら大丈夫よ。きっとなんとかする。それよりよく今まで1人で頑張ったわね」
相原が木崎の腕を取り、労った。
「友情ごっこはそこまでにしてくれよ‼︎」
「なんだと⁉︎」
「そんなもんで勝てねーだろうが‼︎」
心無い野次に、俺は押し黙る。
白組は裕貴と哲也の2人と、樋口美咲。そこに俺と相原が加わった。木崎も居るから計6人。そもそも紅組より1人多い。
戦力的には申し分ないだろう。
勝負事にはめっぽう強いヤツらだ。
裕貴の言うことも分かる。
俺たちは今から直人と競う。もし負ければ、自分たちから失格者が出るんだ。紅組に居た頃のように、無記名投票なんて甘いことをしていると、自分の足元がすくわれる。
本気でいかないと。
本気で、直人と戦わないといけない__。