悪魔の運動会
【立花薫】
私たちが校庭に出ると、丸い大玉が2つ並んでいた。
でもなぜか__透明?
紅や白ではなく、中が丸見えの大きな玉。
よく見ると、中に持ち手がついている。
「まさかこれって__?」
「これより第6競技、大玉転がしの説明をします。まず各チームから1名ずつ、大玉の中に入る人を選出して下さい。グラウンドを半周した後、玉の中の人はぐるぐるバットを30回して、もう半周を走って競います。先にゴールした色の組を、勝者とします」
やっぱり思った通りだ。
私たちが居るスタート地点の反対側では、猿がバットを持って跳びはねている。
ただの大玉転がしじゃない。
玉の中に入るということは、そのまま勢いよく転がされて目が回るに違いない。それに加えて、バットを額につけてその場で30回。もうフラフラになる。
「私は遠慮するわ」
紅組の輪の中で、私は申し出た。
わざわざ理由なんて説明しなくても、誰からも異論は出ない。
恐らく__いや、間違いなくこの中で誰より体重が重い。それは玉を転がすほうとしても厄介だろう。逆に女子は軽すぎるし、ここは安藤か笠井に入ってもらうしか__。
「私が入るわ」
決意を込めた立候補は、意外な人物だった。