悪魔の運動会
【相原友子】
少し離れたところで、紅組が集まって相談している。
ついさっきまで、私もあの輪の中に居たのに。
悔しいのは、安藤くんを支えることができなくなっただけじゃない__。
「俺が入るぜ」
戸田裕貴の有無を言わさぬ口調。
この白組には、相談や協力といった言葉はないらしい。それが歯痒く感じた。でも、これまではそれがまかり通ったかもしれないけど、今は違う。
「勝手に決めんな」
間宮くんが異論を唱える。
あの裕貴に真っ向から文句を言えるのは、さすがだ。
今まで真っ向から文句を言われなかった当人は、顔つきが変わった。
「黙ってろや、間宮」
「お前こそチームワークって言葉、知らないのか?」
「俺が白組のリーダーなんだよ」
「これからは違う」
「今やんのかぁ⁉︎」
「お前が望むならな」
一触即発とはこのこと。
今にも掴み合わんというばかり。
「お前が失敗したら、ちゃんと責任を取るんだろうな?」
けれど間宮くんが、冷静にそう言った。
失敗した責任__それは失格者となることだ。
しばらく睨み合っていた2人だが「おう、上等だ」と裕貴が啖呵を切ったことにより、なんとか収拾した。
「えっ、あれって__?」
その時、いつもは冷静な樋口美咲が、声を上げる。
それは、紅組の玉に入ろうとしている伊藤明日香に向けられていた__。