悪魔の運動会
【間宮旬】
ほぼ互角か?
「右、左、右、左!」
俺が引っ張るまでもなく、後ろから押されるように白組のムカデは進んでいく。
同じ掛け声が隣の紅組からも聞こえていた。
いや__ちょっとずつ、ちょっとずつ差ができている。
横一線に並んでいた直人が、少しずつ下がっていくからだ。
やっぱり体格差がないほど有利だ。
直人には悪いが、俺たちももう、誰も失うわけにはいかない。
「引き離すぞ‼︎」
さらにスピードに乗った俺たちは、紅組を引き離しにかかる。
もうすぐ、半分が過ぎようとしている。
このまま転倒さえしなければ、勝ちは見えた‼︎そう確信した時。
__えっ⁉︎
俺は前につんのめって倒れた。
俺に覆い被さるようにして、全員が転ぶ。すぐに立ち上がって体勢を整えたが、ムカデは止まったまま。紅組がその差を詰めてきても、だ。
その紅組も急に止まった。
俺は転んだんじゃない。
止まったんだ。
目の前に引かれた真っ赤な太いラインの前で、紅白両組は立ち尽くしていた。
「間宮くん、あれって__?」
相原が言いたいことは分かる。
あれは、綱引きのラインと同じ。ラインを越えると、電気が流れた。それを今度は足から食らうわけか?
しかも、ラインが太い。ムカデが渡り切るのには時間がかかる。
その間、電気が流れ続けるのか?
俺が躊躇していると、直人たちが一気に渡り始めた!