悪魔の運動会


【笠井周平】


えっ?


俺は振り返った。


ちょうど、自分の足がラインを踏んだ瞬間でもある。


犬が、松明を持っていた。


小さな炎を地面に押し当てると、火は一気に膨れ上がる。


「お、おい‼︎火が!」


前の4人が振り返り、顔色を変えた。


猛烈な勢いでムカデを追いかけてくる。


「早く、早くしてくれ‼︎」


押し出すように足を進めるが、火は生き物のように真っ直ぐ迫ってきていた。


まるで、6人目のメンバーのように__。


ここにきて白組との差が広がりつつある。命の危険が差し迫っているからだ。白組より先にゴールラインを踏めば、火は消える。そして俺たちの、勝__ち?


「おい‼︎なんで白組は火がついてないんだよ‼︎」


声を限りに叫んだ。


白組もとっくにラインを踏んでいるはずだ。


それなのに__うさぎは、口に手を当てて「うっかり」という仕草。ようやく火を放つと、龍のように渦巻いて白組のムカデを捕まえにいく。


あと100メートル。


もし、もし転べは、間違いなく焼け死ぬ。


炎はあっという間に、赤いラインを焼き尽くした。


「もっと急げ!もっと!」


このままじゃ。


このままじゃ__。








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