悪魔の運動会
*投票第7回目
【相原友子】
笠井周平が失格となった。
私たちの目の前で、火だるまになって。
私は、そのショックよりも、安藤くんが気落ちしていないか心配だった。彼のことだ、きっと自分を責めているに違いない。激しく責め立てている。
本当なら、今すぐにでも駆け寄って声を掛けたい。
かける言葉がなくても、私がいつも支えになることを温度で伝えたい。
でも__彼が望んでいることが別にあること、私は知っていた。
知りたくなんてないのに__。
「木崎さん、ちょっと」
教室に戻る前、木崎涼子に呼びかけた。
これまで【無記名投票】を続けている彼女を。
私たちは今から投票する。
間宮旬、相原友子、木崎涼子、樋口美咲、野々村哲也。
この中から確実に1名が落ちるんだ。
否応無しに。
「まさか、ここにきてまだ自分に投票したりしないわよね?」
「えっ?」
心底、驚いている様子の涼子に、なんだか腹が立つ。
「この競技は、誰もミスをしていない。間宮くんの判断で棄権したけど、そうしないと野々村哲也が焼け死んでいた。それに間宮くんを失うわけにはいかない」
食い気味に力説するのを、ただ黙って聞いている。
だから私は、事実を告げた。
「野々村哲也は、間違いなくあなたに入れるわ」