悪魔の運動会
【相原友子】
打ち合わせ通り。
私は【野々村哲也】に投票した。
教室に戻る途中、私を追い抜いた間宮くんが「野々村に入れよう」そう言ったからだ。
あとはやっぱり、美咲の票次第。
こうなることが分かっていれば、美咲にも打診をすれば良かった。
涼子への心象は悪くないだろう。うまく言えばノッてきたかもしれない。
でももう遅い。
投票は締め切られた。
それに、そこまで私が面倒を見るの?
なにを言っても「自分に入れる」の一点張り。いくら私でも、どうしようもない。
潔い姿勢で、安藤くんの心に寄り添っている。
それは、女子をまとめたり、クラスの雑用を一手に引き受けたりと駆けずり回っている私には、到底できないこと。
2人は、深いところで通じ合っている。
どんなに私が手を沈めようと、決して掴むことができない、深い深いところで。
じゃ、落ちても仕方ないじゃない。
「開票いたします」
自分を貫いて落ちるなら本望でしょ?
それで彼を悲しみの沼に突き落とすことになるなんて、考えていない。
きっと涼子は、自分のことしか考えていないんだ。
それなら落ちても__。
しかし、1番に呼ばれた名前は、意外なものだった。