悪魔の運動会
【相原友子】
名前が呼ばれた時、喉に痛みが走った。
呼吸を忘れたようで、息ができない__息が‼︎
細かく震える指先を隠すように、拳を作る。それでも震えは止まらない。
落ち着いて、落ち着くのよ。
必死で言い聞かせる。
まだ1票、読み上げられただけ。次に野々村哲也が呼ばれた。大丈夫、きっと野々村哲也が票を重ねるはず。
それでも__。
誰かが私に投票した。
私を落としてやろうと、私が失格になればいいと思って投票した者が、後ろの4人の中にいる。
そう考えると、背中が薄ら寒かった。
人に憎まれることなんてない、憎むこともない学校生活。
クラスのため、安藤くんのために、私は一生懸命だった。
それなのに、私に入れる?
「__まさか?」
小声で呟いた。
ストレートに向けられた悪意、それってまさか、木崎さんじゃ?
彼女が、安藤くんの側にいる私を落とそうと?
自分に入れると言ったのに?
私はそれをまんまと鵜呑みにした?
「無記名投票、木崎涼子」
えっ?
やっぱり木崎さんは、自分に入れた?
じゃ、誰が?
もう、なにがなんだか、考えるだけで疑心暗鬼になってしまう。
私と野々村哲也と木崎さんが1票ずつで横並び。
残る票はあと2つ。