悪魔の運動会
【相原友子】
失格となったのは、野々村哲也だった。
憎しみの炎を燃え上がらせつつも、暴れることなく教室を出て行く。
「相原、悪い」
間宮くんが私に謝る。
そして彼は私に説明する。
なぜ、相原友子に1票が入ったのか?
間宮くんも間宮くんで、木崎さんのことを心配していた。恐らく、この後に及んで自分に投票することも。
だから、私を落とすよう野々村哲也に持ち掛け、それは見事に成功した。
前もって私に知らせなかったのは、作戦に信憑性を持たせるため。
それほど、私も間宮くんも必死だった。
木崎涼子を落とさないために__。
「木崎さん、もういい加減にしたら?」
私は詰め寄る。
真っ直ぐ私を見据える、眩しいくらいの曇りのない眼差しに。
「これだけみんながあなたを失格にしないように頑張ってるのに、あなたそれでも自分に入れるの?」
答えられないと分かっていても、やめられない。
涼子はそんな身勝手ではない。
そのことはよく知っている。だから私にも、間宮くんにも申し訳ないと思っているはず。その証拠に、目を伏せた。
それでも私は責め立てずにはいられなかった。
「もう誰もあなたのことなんて守らないわよ‼︎勝手にしたらいいじゃない‼︎」
そう吐き捨てた。
でも答えは分かっている。
彼女は、安藤直人の為にそうしているのだと。