悪魔の運動会


【間宮旬】


読みが当たった。


騎馬を組んでお互いに対峙し、俺は唇を噛み締めた。


全くもって正反対の騎馬。


だが、紅組の馬は予想しやすかった。


寺脇リカが居るからだ。


同じ小柄でも伊藤明日香は馬力がある。ただ貧弱なリカは馬にすらなり得ない。ということは、自然とリカが騎手になるというわけだ。


そこを逆手にとって、俺は騎馬を組み立てた。


相原と樋口、木崎はほぼ体格が似通っている。理想的な安定した騎馬が作れるはずだ。俺が大将となり、上に乗っても崩れないだろう。


ただ1つ問題なのは、体力面だ。


なかなか勝敗が決まらず、体力を少しずつ消耗する戦い方は避けたい。


短期決戦。


その為に、俺が上になった。


俺が敵の大将を討ち取る。リカが相手なら容易い。


「いいか、一気に攻め込むぞ」


そう声を掛けると、グッと土台に力が入るのが分かった。


悪いな、直人。


メンツに恵まれなかった、お前の不運だ。ここは勝たせてもらうからな。


「それでは始めます。よーい__」


馬が前のめりの体勢になった。確実に攻め入るポーズだ。


だが、直人のほうも、前の立花薫が屈んだ。


まさか、ぶつかってくる気か?


薫の力なら考えられないこともないが__。


号砲が鳴った途端、その薫が突っ込んできた!






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