悪魔の運動会


「行くしかないわ」


私は向こうの騎馬に、向かい合った。


このまま思いっきり頭から突っ込んで破壊するしかない。


「よし、行こう。勝負だ」


安藤のGOが出た。


最善のタイミングではないが、長い間、間宮を抱えて神経もすり減らしたはずだ。


今なら壊せる。


改めて腰を低く構え、馬が徐々に後ろ足を蹴って加速するように、距離を縮めていく。


向こうもきた‼︎


覚悟と覚悟のぶつかり合いだ。


だが作戦は真っ向から異なっている。


私たちは馬を打ち崩す。一方、向こうは騎手の首を狙っている。


馬か帽子か。


その距離がどんどん詰まる。


先頭の美咲の顔が見えてきた。


__まさか?


私の突入を避けるなら、帽子には手は届かない。騎手と戦うなら近づかないと。馬の攻撃を正面から受け止め、且つ、大将の首を刈る。


綺麗なだけの美咲の顔から、闘志が溢れ出ていた。


私の猛攻を受け止める気だ。


間宮も手綱を緩めず、前傾姿勢で突っ込んでくる。


「いい度胸じゃないの」


そう呟いた私は、にやりと笑った。


こんな時に、ちょっと嬉しいなんて不謹慎よね?


私は暴れ馬と化し、白組の騎馬と正面衝突を__。







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