悪魔の運動会
【立花薫】
あれだけ嫌がって抵抗していたのに、校庭まで引きずって出た途端、うさぎは嘘のように軽くなった。
もう勝負あったと思ったからか?
猿の審判を受けるまでもない。
すでに相原友子がリーチをかけているからだ。しかも1人じゃない。
同じチームの木崎涼子を引き連れている。
相原の引き当てたお題が、涼子というわけだ。
もう負けは決まった__。
「あんたのせいよ‼︎あんたがグズグズしてるから!」
八つ当たりしても仕方ないのだが、うさぎに蹴りの一発でも入れないと気が済まない。
それでも万が一のことがある。
私はうさぎと、2人の後ろに並んだ。順番待ちだ。私まで順番が回ってくるかは、可能性が低いが。
「__私の、答えよ」
若干、相原友子の声が震えている気がするのは、私の思い過ごしか?
顔色も良くない気がする。
なぜか猿は首を大きく傾げ、判断しかねる様子。一体、どんなお題を引いたのか分からないが__。
ブー‼︎
バッテン印の不正解音が響く。
相原友子のお題は、木崎涼子では不十分だと。
「えっ⁉︎じゃ、私のお題を__」
2人の間に割って入ろうとしたが、猿が「待て」と手のひらを突き出した。
そして、さっきにも増して、真っ青な顔色の相原に向かって指を突き立てる。
「__証明して下さい」