悪魔の運動会
【立花薫】
「どいて!」
2人を突き飛ばし、ここにきて嫌がるうさぎを猿の前に突き出す。
どういうことか詳しい成り行きは分からないが、順番が回ってきたことだけは確かだ。
チャンスが巡ってきた‼︎
しかも確実にものにできるチャンスが。
「お題の答えは、うさぎよ」
そう言うと、猿が少し体を引いて、うさぎを睨(ね)めつける。
品定めしているような?
私はお題を開いて、猿の目に貼り付けてやった。
「耳が大きくて、目が大きくて、歯が出ていて、ヒゲが生えている、みんなのアイドル。うさぎじゃないの?誰がなんと言っても、うさぎじゃないの‼︎」
「ブー‼︎」
「はぁ⁉︎どこが不正解なのよ‼︎」
「ブッブッブーーー‼︎‼︎‼︎」
さっきの仕返しとばかりに、何度もひび割れた音を鳴らす。
プイッと顔を背け、聞か猿のポーズ。全く聞く耳をもたない。
「ちょっと待ってよ、うさぎの他になにが__?」
そう問いかけると、聞か猿から言わ猿へ。手を口に当てたかと思うと、今度は見猿だ。目を手で覆うのだが、指を広げてその間から何かを見ている__。
私もその視線を追いかける。
相原友子が、木崎涼子に向かって狙いを定めていた。
それでも私は考える。
うさぎじゃなかったら?
うさぎじゃなかったら?