悪魔の運動会
【相原友子】
「それでは開票いたします」
票はたったの3票。
アッという間に終わるだろう。
私か涼子の、どちらかが落ちる。あと数分後に__。
行き場のない、黒く渦巻いた感情はどこに行くのだろう?
私が、私じゃないような。
これが本当の私なのか?
願い通り、涼子に投票させることができれば、浄化できるのか?
様々な思いが交錯する中、最初の名前が呼ばれた。
「相原友子、1票」
ビクッと肩を震わせ、思わず隣の涼子を見やる。
涼子は斜め下を見つめたまま、動かない。これは、どういうことか?
身に覚えがないから?それとも、私に入れたから目を合わせない?やっぱり、この1票で自分が落ちるとなると、結局、木崎涼子も怖気付いたというわけ?
それはそれで望んでいたことなのに、なんだか心が寒い。
「ごめんなさい、それは私」
後ろから声が掛かる。
私があなたに入れた票だと、樋口美咲が言った。
申し訳ないという割には、淡々とした口調だ。入れたことを謝ったのではなく、勘違いさせたことを詫びているのだろう。
浮かしかけた腰を戻し、私は待った。
次の名が呼ばれるのを。
無記名投票ではなく、名前が呼ばれるのを__。