悪魔の運動会


【間宮旬】


逃げられるか⁉︎


廊下を歩きながら、俺は抜け目なく視線を走らせる。


拘束されてはいないものの、両脇を屈強な動物たちにがっちりと挟まれ、身動きが取れそうにない。


それに__すでに失格となったクラスメイトがどうなったのか?知りたい思いも強かった。


失格だからといって、そう安安と殺されるなんてことはないだろう。


渡り廊下を越え、校舎の奥へと進んでいく。


冷たい風とともに、どこか懐かしい臭いが鼻をつく。


これは__塩素?


どんどん臭いが強くなってくる。


普通の教室?


扉が開き、小突かれるようにして中に押し込められた。


「間宮⁉︎」


ハッとお互いが目を合わせる。


そこには、これまでの競技で失格となった仲間が、身を寄せ合って座っていた。


俺の名を呼んだのは、野々村哲也だ。


俺の策に引っかかり、まんまと失格となった恨みからか、俺を睨みつける。


その前に倒れているのが__戸田裕貴だろう。


伊藤明日香だけでなく、うさぎにもボコられた裕貴は、息をしているが動かない。


リカに落とされた世古佳恵や、植松理沙もいる。


「みんな、無事だったんだな⁉︎」


そう言ってホッと胸を撫で下ろしたが、なぜか誰も俺と目を合わせない。


よそよそしい空気が立ち込めた時、俺はふと気づいた。


「__そういえば、信吾は?」



< 346 / 453 >

この作品をシェア

pagetop