悪魔の運動会
【戸田裕貴】
「じゃあな」
野々村哲也の腹を、思いっきり蹴り飛ばす。
心底、驚いた顔をしてそのまま後ろに倒れるように、ピラニアの待つプールへと落ちていった。
叫び声が聞こえたのも、ほんの僅か。
腹を空かせた魚が、すぐにでも獲物に喰らいつく。
俺に許してもらったと思い込みつつ、どこで俺を裏切ってやろうかという、あの顔が驚きに満ち溢れていくのを、もう少し味わっていたかったが、時間がない。
余韻に浸るのは後でいい。
俺が勝ち残ってからで。
あと、俺と渡り合えるのは__?
間宮旬と目が合った。
こいつくらいか?それと、小林健がまだ生き残っている。間宮だけに気を取られて足元をすくわれかねない。
早い目に始末しておくのがいいか?
なんにしろ、魚が腹を満たしている今が狙い目だ‼︎
助走をつけて、俺は一気にプールに飛び込んだ。
怯える必要はない。
下手な恐怖心は、格好の標的となる。
ちょっとくらい食われてもいい。
それがなんだ?
俺にはもっと、やらなきゃいけないことがある。
この敗者復活戦に勝ち残って、残っているやつ全員。
ぶっ殺してやる‼︎