悪魔の運動会
【間宮旬】
裕貴がプールから上がろうとしたところ、俺は腰に腕を回して、そのまま後ろに放り投げてやった。
大きな水飛沫を上げ、水面に背中を叩きつける。
ただ、それで黙っている輩じゃない。
すぐに俺の首に飛びかかってくる。
そのまま押し沈められ、口から思いっきり水を吸い込んだ。
肺が焼けるように熱い‼︎
俺の動きが止まった横をすり抜け、再びプールのへりに手をかける裕貴。
水面に顔を出して激しく息を吸い込んだ俺は、すぐにその足を引っ張り、引き摺り下ろす。
再び揉み合いになるが、今度は俺が裕貴の頭をひっ掴み、全体重をかけて沈めてやった。
手足をバタつかせ抵抗するも、離さない。
絶対に離さない。
「あ、相原‼︎今だっ、早く上がれ‼︎」
少し離れたところで待機させていた相原に、そう声を掛けた。
「でも__」と渋る相原。
「俺の心配はいい‼︎お前が早く行け‼︎」
早くしないと、抑えきれなくなる。
相原がプールに上がるまででいい。暴れ馬の首根っこを掴んで、手綱を緩めない。
意を決した相原が、ゴールに向かって泳ぎだした。
大丈夫だ。
もう今からじゃ、追いつけない。
それに、あれだけ暴れていた裕貴から、急に力が抜けた__。