悪魔の運動会


【戸田裕貴】


俺の目にも、相原と寺脇が脱落したのが分かった。


こうなれば、間宮との一騎打ちだ。


泳ぎだそうとした間宮の背中に飛びついた。


そのまま引き倒して、今度こそ沈めてやろうと。それも永遠にだ。


だが予想していたのか、間宮は体を反転させるとそのまま拳を繰り出した。


「がっ‼︎」


不意打ちだったため、まともに鼻に入った。


間違いなく折れたな。


体が水の中に沈み込んでいく__。


ここで少しでも気を失えば、間宮が勝ち上がる。


それだけは許さない。


刺し違えてでも、それだけは阻止してやる。


敗者復活戦だけじゃない。


この運動会で勝ち残るのは、この俺だ。


この俺様なんだ‼︎


前を泳ぐ間宮を追いかける。


ピラニアがなんだ、サメがなんだ、ワニがなんだ。


俺が狙うは、あいつだけだ。


俺の手で息の根を止めてやる。


プールのヘリに手をかけた間宮の足に、俺は手を伸ばした。


もう一度、引き摺り込んで絞め殺す。


絶対に絶対に絞め殺してやる‼︎


ヘリに足をかけた間宮が振り返ったのと、俺がその足首を引っ掴んだのは同時。


力ずくで足を引きずり下ろした__。






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