悪魔の運動会


【間宮旬】


相原の元に向かった俺だったが、後ろから裕貴が襲いかかってくるのが分かった。


振り向きざまにストレートをお見舞いしてやる。


鼻が折れた感触があった。


これで追い払えただろう。


改めて相原のところに向かう。ゆらゆらと漂っているその体はもう、固まり始めていた__。


せめてこの冷たいプールから出してやりたかったが、涙を飲んで、ソッと体を離した。


「すまない、相原」


流れていく、かつてのクラスメイトに声を掛ける。


その代わり約束する。


俺が勝って、直人の力になるから。


最後のスパートをかけた。


ゴールはもうすぐそこだ。


俺は直人と約束した。


また会うと。


必ず会うと約束した。


体を持ち上げたその時、足を強く掴まれて引っ張られる。


裕貴だ。


血だらけになりながらも、プールから引きずり下ろそうと俺の足を離さない。


俺は約束を守る‼︎


離さないならくれてやるまでだ!


踵で顔面に蹴りを入れてやった。


裕貴がひっくり返ってプールに沈んでいく。


その隙に、俺はプールから上がった。


友と交わした約束を、守るために__。





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