悪魔の運動会
【立花薫】
閃光が地面に突き刺さった。
あまりの眩しさに目を閉じたほどだ。
そして目を開けると、そこに居たはずの伊藤明日香が消えていた。
稲妻にさらわれたように、跡形もなく無くなっていたんだ__。
私たち5人は呆然と、動物たちが「処理」するのを眺めていた。
明日香だった欠片を、掻き集めているのか?
誰も言葉を発しない。
この事態を引き起こした戸田裕貴でさえ、青白い顔をしている。
「それでは競技を再開します。スタートラインについて下さい」
それでも誰も動かない。
やはり、ただのリレーなんかじゃない。周回遅れとなって失格になれば、持っているバトンが爆発する。
バトンじゃなくて、ダイナマイト。
これはダイナマイトリレーだ。
「速やかにスタートしない場合、全員、失格とします」
冷酷な声に引きずられるように、安藤と樋口美咲が歩み出る。
安藤の手に渡されるのは__ダイナマイト。
しかも、明日香が居なくなったことにより、私と安藤の紅組は圧倒的不利となる。
向こうが3人で走る距離を、私たちは2人で走らないといけない。
「俺が2周走る」
そう言い残して、安藤が駆け出していった。
雨が、横殴りに体を打つ。