悪魔の運動会
【山寺正人】
1年4組のクラスはもう、滅茶苦茶だった。
机はひっくり返り、椅子は投げ飛ばされ、竜巻が吹き荒れていた。
戸田裕貴だ。
森本瞳の遺体を粗末に運ぶ着ぐるみたちに殴りかかり、返り討ちにあった。
それをいいことに男子たちで教室に運んだが、目を覚ました途端に暴れ狂っている。
必死で押えこもうとする野々村哲也と、哲也に加勢するよう頼まれた大野信吾。
バカでかい体の信吾だが、腹を蹴り上げられてしまった。
僕は「大丈夫か⁉︎」と駆け寄る。
あまりの騒ぎっぷりに、教室の入り口で見張っていた兎の着ぐるみがヌッと入ってきた。
前歯が飛び出ている、大きな目の兎。
笑っているのに笑っていないその不気味さに、さすがの裕貴もおとなしくなる。
改めて僕は教室を見回す。
廃校だとばかり思っていたが、すぐにでも開校できる清潔さが保たれており、それだけでも莫大な費用がかかるはず。やっぱり一連の出来事は政府が関わっているのだろうか?
分からない。今はあまりに情報が少な過ぎる。
これからもっと手がかりを集めないと。でも__。
机や椅子の乱れは白組をそのまま表しているようで。
僕は深いため息をついた。