悪魔の運動会


【大野信吾】


大縄跳びで失格となった僕は、スタンガンを押し付けられ教室から運び出された。


美咲が無事ならそれでいい。


意識が途絶えるまで、美咲の身を案じていたんだ。


僕が守らなくちゃ。


僕が絶対に守らなくちゃ__。


目を覚ますと、見知らぬ教室のようなところに横たわっていた。


首が痛い。


唸り声を上げながら体を起こすとちょうど、うさぎが覆い被さってくるところだった。


全体重をかけ、身動きが取れないよう喉を圧迫される。


こ、殺される⁉︎


失格者はやはり始末されるのか‼︎


あまりの力に、取り戻した意識が再び手から離れていく__。


もう2度と覚めないかもしれない。


もう2度と、美咲と会えないかもしれない。


「み、美咲‼︎」


その名を口にするだけで、体から信じられないくらいの力が湧いてくる。


押し潰そうとする力に、あえて力で押し返す。


拮抗するパワーバランスが一瞬、崩れた。思い切り足で蹴り上げ腕を振り回すと、うさぎの着ぐるみに飛びついた。


ガンっ‼︎


固い手応えを感じ、柱を背にずり落ちたうさぎ。


僕はその首に手をかけ、あらん限りの力で締め付ける。


手足をバタつかせて抵抗するうさぎから、力が抜けるのはさほど時間はかからなかった。


僕は、うさぎを殺してしまったんだ。



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