悪魔の運動会


男の顔が、なくなった。


服が返り血に染まったが、構いはしない。


うさぎが、大野信吾を殴り殺したのだから。


男は拳銃を身につけていた。やっぱり、只者じゃないんだ。


フォルスターと拳銃を剥ぎ取り、自分で身につける。


それらの作業を、僕は淡々とこなした。


急がないと、次の失格者が連れ込まれてくるだろう。


なんのためらいもない。


それが全て、美咲の為になるのなら__。


僕の服を着て床に横たわるのは、かつての【うさぎ】


それを見下ろすのは、うさぎの着ぐるみを着た【僕】


最後に、うさぎの頭を被って仕上げだ。


「おい、お前‼︎」


そんな声に振り返ると、1番に目に飛び込んできたのは、世古佳恵だった。


猿に担がれている。


次の失格者は世古だったのだろう。


「殺したのか⁉︎」


「__」


「殺したのか‼︎」


「__ああ」


声色を変えて答えた。


すると、猿はジーッとこちらを見ている。


まるで、審判を下すかのように。


睨み合いとも呼べる長い時間を打ち破ったのは、世古の甲高い悲鳴だった。


「お、大野くん__?」


青ざめて叫び声を上げる世古に、猿がスタンガンを押し付ける。


「殺したものは仕方ない。行くぞ」












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