悪魔の運動会


大玉転がしでは、失格となった戸田裕貴が教室で暴れ、投げた椅子が美咲に当たった。


つい我を忘れ、裕貴を蹴り上げて踏みつけた。


周りの動物に止められたくらいだ。


ムカデ競争では、美咲の白組に火をつける役目を仰せつかった。


もちろん、忘れた振りをして、遅れて点火した。


その頃からだろうか?


周りの動物たちが、あまり喋りかけてくることがなくなった。


見た目の入れ替わりは問題なくても、うさぎの性格までは知らない。もしうさぎがお喋りだったら?


かといって迂闊に喋るわけにもいかず、不信感を募らせるだけだ。


ひょっとしたら、気づかれている?


そんな思いには捉われながら始まったのは、借り物競走。


大丈夫、まだ美咲は残っている。


教室で待機していると、ランドセルと縦笛が置いてあった。借り物競走のお題だと動物たちが話していた。


伊藤明日香が駆けてくる。


僕は咄嗟にランドセルを背負った。


明日香は紅組だ。渡すわけにはいかない。


逆に木崎は美咲と同じ白組。探している縦笛を与えてやった。


立花薫にいたっては、どうやらお題が「うさぎ」らしい。必死に抵抗し、美咲が勝ち残るように隠れてアシストした。


バレていても構わない。


美咲さえ生き残るのなら__。




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