悪魔の運動会


【相原友子】


「第1競技は大縄跳びです」


校庭では動物たちが、手を振って待ち構えていた。


それぞれの手招きに誘(いざな)われて、私たち紅組と白組は互いに戸惑いの視線を交わしながら、二手に分かれる。


「今から紅組白組、ともに3本ずつ跳んで頂きます。1回でも多く跳んだ組の勝利とします。では___紅組の先行でお願いします」


競技方法を説明する、滞りないアナウンス。


紅組の前には、犬とタヌキが大縄を持っている。縄を回すのは動物であり、全員で跳んだ数を競うという。


それでも私たちは全員、その場に立ち尽くしていた。


教室で結束したが、予備知識のない事態についていけない自分たちがいる。


それを打破したのは__。


「男子は両端だ。端に行けば行くほど、縄が短くなってジャンプ力がいる。真ん中は比較的、緩やかだから女子で固めよう。直人、反対側を頼めるか?」


間宮くんが的確に指示を出し、安藤くんが頷いた。体育系は間宮くんが適任だろう。


私は女子のまとめ役として、男子に挟まれる形で大縄を跨(また)いだ。


「寺脇さん、みんなも頑張ろうね?」


とても運動など出来そうにない寺脇リカに声を掛け、女子メンバーを勇気付ける。


「いいかみんな‼︎声を出して数を数えよう‼︎」


先頭の間宮くんが振り返り、私たちは全員が頷いた。


準備が整った。


ゆっくり、ゆっくりと縄が動き出す__。








< 47 / 453 >

この作品をシェア

pagetop