悪魔の運動会
【相原友子】
「第1競技は大縄跳びです」
校庭では動物たちが、手を振って待ち構えていた。
それぞれの手招きに誘(いざな)われて、私たち紅組と白組は互いに戸惑いの視線を交わしながら、二手に分かれる。
「今から紅組白組、ともに3本ずつ跳んで頂きます。1回でも多く跳んだ組の勝利とします。では___紅組の先行でお願いします」
競技方法を説明する、滞りないアナウンス。
紅組の前には、犬とタヌキが大縄を持っている。縄を回すのは動物であり、全員で跳んだ数を競うという。
それでも私たちは全員、その場に立ち尽くしていた。
教室で結束したが、予備知識のない事態についていけない自分たちがいる。
それを打破したのは__。
「男子は両端だ。端に行けば行くほど、縄が短くなってジャンプ力がいる。真ん中は比較的、緩やかだから女子で固めよう。直人、反対側を頼めるか?」
間宮くんが的確に指示を出し、安藤くんが頷いた。体育系は間宮くんが適任だろう。
私は女子のまとめ役として、男子に挟まれる形で大縄を跨(また)いだ。
「寺脇さん、みんなも頑張ろうね?」
とても運動など出来そうにない寺脇リカに声を掛け、女子メンバーを勇気付ける。
「いいかみんな‼︎声を出して数を数えよう‼︎」
先頭の間宮くんが振り返り、私たちは全員が頷いた。
準備が整った。
ゆっくり、ゆっくりと縄が動き出す__。