悪魔の運動会
「いーち‼︎」
大きく円を描いて回る縄を、紅組は全員で跳び越えた。
「にーい‼︎」
ひときわ大きな声で掛け声を叫ぶのは、先頭の間宮くん。
端っこは縄に余裕がない。それを見越して男子が高く跳んで、膝を大きく曲げる。
間宮くんの後ろが斉木くんで、その後ろに女子が5人団子状態で続く。
「さーん‼︎」
私たち真ん中はゆっくりと縄が回ってくる。地面を撫でるようにやってくる縄を跳び越えるのに、それほどジャンプ力はいらない。
「よーん‼︎」
私の後ろに野球部の2人、そしてしんがりは安藤くん。もちろん安藤くんはスポーツも万能だ。
縄のペースも速くないから、跳びやすい。
男子に守られるかたちで、全員が一丸となり私たち紅組はすぐに10回を超えた。
「じゅういーちっ‼︎」
これなら100回でも跳べるだろう。
あとは体力の問題だ。
私は、前で懸命に跳び上がる寺脇リカを見やった。
早くも息が切れている。
「寺脇さん、しっかり‼︎」
12回目を跳び、彼女を励ます声を掛けた。