悪魔の運動会
【間宮旬】
「それでは紅組、2本目のスタートです」
アナウンスが合図となり、ゆっくり縄が回り始める。
「いーち‼︎」
さっきよりも大きな声で、俺は数を叫んだ。前の【犬】からは決して視線を外さずに。
10回目までは滞りなく跳んだ。
フェイントはない。やっぱり決まった数なのか?
それなら__。
「みんな‼︎15回目だ、注意しろ‼︎」
14回目を過ぎ、縄を目で追いながら身構えた。全員が足踏みする。
予想した通り、縄は勢いを殺されてゆっくり足元に下りてきた。
そしてまた丸く舞い上がっていく。
よし‼︎
フェイントを跳び越えることができた。
「じゅうろーく‼︎」
掛け声も心なしか、大きくなった気がする。みんなが一つになり、難所をクリアした。自然と気持ちも高ぶってくるというもの。
20回目を変え、25回、27、28、29__。
それはやってきた。
「みんな‼︎30回目に気をつけろ!」
俺は注意を促す。
1度目のフェイントは15回目。もしまたあるなら、それはきっとランダムじゃない。
30回目、縄が急に速度を落とす。
だが、俺たち紅組はそれも跳び越えることができた。
よし、次は45回目か?
このまま何事もなければだが。
何事も__。