悪魔の運動会
「さんじゅういーち‼︎さんじゅーにー‼︎」
リズムよく縄を跳び越えていく。
できるだけ数を重ねておきたい。一回でも多く。
「さんじゅさーん‼︎さんじゅよーん‼︎さんじゅーご?」
俺は首を傾げた。
それでも数を数えなくてはならない。それも矢継ぎ早にだ。
そうしないと間に合わないからだ。
地面に足をついて休む間もなく跳び上がらないと、縄に引っかかってしまう。
「さんじゅなな‼︎さんじゅはち‼︎さんじゅ__」
間違いない。
ここにきて急に縄のペースが速くなっている‼︎
犬はグルングルンと全速力で縄を回していた。
それはもう追いつけないくらいに__。
40回を超えてもなお、縄の速さは止まらない。それどころかまだまだ速くなる。
「よんじゅ‼︎」
数を数える暇もないくらい速く。
41.42.43.44。
縄に踊らされるよう跳び上がり続け、さすがの俺も息が切れる。
その時__。
縄が止まった。
「っ‼︎フェイントだ‼︎」
声を上げて知らせたが、急降下したペースに体がついていけず。
半数が縄に引っかかっていた。
記録、44回。