悪魔の運動会
【山寺正人】
「それでは白組の2本目です」
アナウンスに促され、僕たち白組は縄の元へ向かう。
「みんな聞いてほしい。この大縄跳びには法則がある。フェイントは15回、30回、45回目にくる。15回毎に縄の速度が遅くなる。そして30回から45回までは逆に速くなる。だからちゃんと数を数えて気をつけよう‼︎」
僕の忠告に頷いたのは、木崎涼子だけだった。
それでもいざ縄跳びが始まると、1回目よりは声が揃っている。
今度は10回を楽に超え、15回目のフェイントも惑わされずに跳び越えることができた。
20回目を超えても、声は力強さを失ってはいない。
これはひょっとすると、いけるか?
紅組はまとまってはいるが、数を重ねていくと体力的な不安がある。寺脇リカなんかがその象徴だ。白組が懸念すべきなのは__僕かもしれない。
僕さえ踏ん張れば、勝てる⁉︎
30回目のフェイントもクリアした。
そして縄は次第に速度を上げていく__。
35.36.37.38.39。
煽(あお)られるように跳び続ける。地面に下りる暇もないくらいに。でも一たびリズムを掴むと跳べないことはない。
僕らの意識は、次の45目のフェイントに向けられていた__。