悪魔の運動会


【安藤直人】


紅組の3回目。


「みんな、泣いても笑ってもこれがラストだ‼︎フェイントは15回毎、30回目からは縄が速くなる。できるだけ多く跳んでおこう‼︎気持ちを一つにするんだ‼︎」


先頭の旬の喝に、俺たちはしっかり頷いた。


さすがは俺の永遠のライバル、間宮旬だ。頼りになる。


でも__。


俺は少し離れた先の、白組を見ていた。なにやら揉めていたが、今は全員が座り込んでいる。


その中に、木崎涼子もいる。


涼子とだけ組が別れてしまった。おそらく、このままいけば俺たち紅組が勝つだろう。俺が気がかりなのは、その後どうなるのか?白組が失格となるのか?


撃たれた森本瞳みたいに?


感電死した和田翔平みたいに?


もしかしたらそれは、涼子かもしれない。


俺が縄を1回、跳び越えるたび、その可能性は高くなっていくんだ。


でもだからといって、みんなを裏切るわけにはいかない。


「いくぞ‼︎」


旬の合図で、1回目の縄を跳び越えた。


全員が一丸となって、数を数えるその声は、どこまでも突き抜けていく。


何回でも跳べるような錯覚を起こすくらいに__。


そしてそれは、錯覚などではなかった。


「紅組記録、80回」






< 57 / 453 >

この作品をシェア

pagetop