悪魔の運動会
【安藤直人】
紅組の3回目。
「みんな、泣いても笑ってもこれがラストだ‼︎フェイントは15回毎、30回目からは縄が速くなる。できるだけ多く跳んでおこう‼︎気持ちを一つにするんだ‼︎」
先頭の旬の喝に、俺たちはしっかり頷いた。
さすがは俺の永遠のライバル、間宮旬だ。頼りになる。
でも__。
俺は少し離れた先の、白組を見ていた。なにやら揉めていたが、今は全員が座り込んでいる。
その中に、木崎涼子もいる。
涼子とだけ組が別れてしまった。おそらく、このままいけば俺たち紅組が勝つだろう。俺が気がかりなのは、その後どうなるのか?白組が失格となるのか?
撃たれた森本瞳みたいに?
感電死した和田翔平みたいに?
もしかしたらそれは、涼子かもしれない。
俺が縄を1回、跳び越えるたび、その可能性は高くなっていくんだ。
でもだからといって、みんなを裏切るわけにはいかない。
「いくぞ‼︎」
旬の合図で、1回目の縄を跳び越えた。
全員が一丸となって、数を数えるその声は、どこまでも突き抜けていく。
何回でも跳べるような錯覚を起こすくらいに__。
そしてそれは、錯覚などではなかった。
「紅組記録、80回」