悪魔の運動会
70‼︎
71‼︎
72‼︎
信吾のジャンプ力が、先ほどまでとは格段に落ちている。
やっぱり私を背負っているからだ。
あと8回。
73‼︎
あと8回で紅組と並ぶ。
74‼︎
縄の速度は最高潮に達する。
「__あっ‼︎」
私が声を上げたのは、グラッと揺れたからだ。
バランスを崩した信吾の背中が、大きく傾(かし)いだ。
こ、転(こ)ける‼︎
膝をついた信吾のもとに、容赦なく無慈悲な縄がやってくる。
けれどそれは75回目。
フェイントによって速度を殺された縄が、ゆっくりと頭上を越えていく__。
力強く立ち上がった信吾が跳び上がったのと同時に、縄が地面を撫でて行った。
「ななじゅうろーく‼︎」
あと5回!
「ななじゅうなーな‼︎」
あと4回!
私も祈った。
自分も一緒に跳んでいるような気持ちで、拳を握りしめて祈った。
「ななじゅうはーち‼︎」
あと3回‼︎
大丈夫。あと3回なら。
あと3回なら__。
そして、静かにアナウンスが流れる。