悪魔の運動会
出席簿順から、男女隣ずつで机が八つ並んでいる。
僕と樋口美咲だけ、その八つの机の後ろに並んで座っていた。
隣の樋口をチラっと盗み見る。
いつもの悠然とした勝ち気さが消え、その横顔は真っ青だ。まさか3票も入るとは思わなかったのだろう。
女王様は、あまりに女王様だったのかもしれない。
だから票が__。
「樋口美咲」
4票入った。これで並んだ。信吾との一騎打ちだとは思ったが、まさか競るなんて。残る票はあと1つ。次に名前が呼ばれたほうが___失格者となる。
静まり返る教室。
息遣いだけじゃなく、胸の鼓動まで聞こえてきそうだ。
落ちるのは、信吾か?
それとも、信吾が必死に庇った樋口美咲か?
僕たちは固唾を飲んで、次の票を待った。
最後の、勝敗を決する票を。
しかし。
声は、どちらの名を呼ぶこともなかった__。
「無記名投票」
えっ⁉︎と誰もが声を上げた。
自分に投票したやつが、木崎以外にもまだ居たのか?
誰がなんの為に?
そんな疑問は、すぐに解決された。
そして、失格者が決定した。