悪魔の運動会
私が信吾を遠ざけるようになったのは、無邪気に近寄ってくるその笑顔にイラついたからだ。
私は新しく生まれ変わった。
か弱い少女から、微笑むだけで願いを叶えることができる女王様になったのだ。それなのに、信吾だけがいつまでも、私をお姫様扱いする。
私は新しく生まれ変わった。
涙を見せるだけで、いくらでも願いを叶えることができる女王様なんだ。それなのに、信吾だけが__。
耳を押さえる手の隙間から、悲鳴が割り込んできた。
「___スタンガン⁇」
そんな誰かの声も一緒に。
私は新しく生まれ変わった。
信吾は、なにも変わってはいない。
そのことを思い知らさせるのが、嫌だったんだ。だから強く突っぱねた。
変わらないことが、あまりにも眩し過ぎたから__。
この夕日と同じくらい、眩しかったから。
それでも最後まで、私は目を開けなかった。
開けるときっと、涙が流れたから__。
だって私は、女王様なのだから。
信ちゃん、ごめん。