神様お願い 僕を殺してください
「いきなり現れて、そんなこと言われても困ります!」
「あのっ…」 という彼の言葉を無視して、女性は病院の中へ走って逃げていった。彼はそれを急いで追いかける。

「待って、病院の中は走っちゃだめ… なんだ… よ。っ。・・はぁ、はぁ。」

が、彼は10メートルほど追いかけただけなのに、もう音をあげていた。

「あぁ、なんだよ。人間て、面倒くさい。」
彼は鏡に映る自分の背中を見ていた。

すると、声がした。
「君は音をあげるのが早すぎますね。それでは立派な人間とはいえませんよ?」
その声は彼の頭の中に、直接響く声だった。
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