スタードロップス
この人なら、信じてもいい──…。


私は、今、誰にも話したことがない過去を
話そうとしている。


「あのね、私、二卵生の双子の姉なの。
妹は、深い月って書いて深月。
星と月、だなんて、
ロマンチストな名前でしょ。


でも、お母さんがね、私たちの名前を
一生懸命考えてくれて、
付けてくれた名前だから、
この名前は世界一なんだって、
ずっと思ってた。」


真剣な表情を浮かべている君を一目見て、
再び口を開いた。


「お母さんは、有名なピアニストって
知ってるよね?
で、当たり前のように、私たちもピアノを
弾くようになってたんだ。


でも、ある日を境にお母さんの
ピアノを教える態度が変わったの。
なんていうか、できないことを責めたり、
攻撃的になって、私はそれでも、
お母さんが好きだったから、
ピアノを練習したの。


でもね、ある日受けたコンクール、
私は落ちたの──。


深月は受かってた。
深月もちゃんと練習してた。


私は、私のほうが上手く弾けるって
ずっと思ってたの。
でも、技術でも感情表現でも、深月に
負けたの。


その時にね、お母さんに言われた言葉がね…」



“全然輝かないあんたに星那、なんて名前
付けるんじゃなかったわ”


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