ハイスペックな王子は。
「あ。」
帰る途中、人気のない方の階段で副社長と遭遇した。
私はこちらの方が好きで使っているが、大体の人はエレベーターか正面階段を使う。
「プリンス、こっち行った!!今日こそ帰るところ見れる!」
そんな女子たちの声が聞こえ、「いや、ここ会社ですが……」と言いたくなるが、こんな二次元から出てきたような人がいたらこうなるのも仕方ないのかもしれない。
「あの、お疲れ様でした。」
帰りに副社長に会えたことを喜びつつ、そう告げて帰ろうとした。
が、「ごめん、助けて」という言葉と共に腕を引っ張られ壁ドン状態にされる。
「プリンス……あれ?あっ人違いでしたっ‼」
副社長を追って階段を登ってきた女の子たちが私の顔を見て慌てて戻っていく。