3年後、あの約束の続き
「章の出発が来月だったら良かったのに。そしたら・・・杜若が見れるのに。」
そう、この家にもばあば様が植えた杜若がある。
いつも私達は楽しみにしていた。

まるでばあば様が会いに来ている感じがしたからだ。


章は静かに「そうだね」と言ってた。


それからは章と夜明けまで語り合った。

夜が明ける頃、章はバスに乗って親戚の家に戻らなければいけない。
徐々に空が朝焼けに染まっていくにつれて、私は泣きたくなってくる。

そして薄暗い部屋の中、私はついに泣き出してしまった。


しばらく沈黙が続く。
すると章が、私の手を握った。

「俺さ・・・大学は日本の大学に通おうと思っている。だから3年後、また戻ってくるよ」

「3年後かあ・・・」

その頃には高校2年生だ。
どんな私達になっているんだろう。


「だからさ・・・3年後、迎えに行くよ。待っててくれる?」

そう言って、私を見つめる。

「うん、待ってる」

そう言って笑うと、章はそっと私にキスをした。


「約束な」

そう言って指切りをした。
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