3年後、あの約束の続き
「渡辺さん・・・?」

私は真っ青になってその場にへたり込んでしまった。
視界がぐらぐら歪む。

-過去と今が、交差する


章は何かを悟ってか、私の頭にスーツの上着をかける。

「いい、ゆっくり目を閉じて、何も聞こえない。何も聞こえないんだ」
そう言って私を抱き寄せて、手のひらで私の耳を覆う。


「立って、とりあえずここを抜けよう」
耳元でそう囁かれ、章に抱きかかえられたまま通りを曲がった。


-章の匂いがする


その音に安心してか、涙がとめどなく流れてくる。
章のシャツにボタボタと、私の涙が落ちてくる。


章が私の涙に気付くと、更にぐいっと抱き寄せられる。


「行こうか、とりあえず」

耳を手のひらで塞がれたまま、章は私を引っ張って歩きはじめた。
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