3年後、あの約束の続き
普通に考えて・・・章は知らないはずだ。



居なかった、『はず』だから。



「な・・・んで・・・」

呆然と、突き飛ばした章を見る。


「何でって、君は俺の手を握って『ごめん』と言ったよね」
章はゆっくり、立ち上がる。


「嫌な予感がしていたんだ。無理矢理にでも、連れていけば良かった」

そうして、またゆっくりと私に近付く。



意味が、わからない。
だってあの時章を見たのは、誰もいない。


でも・・・みんな、『気付かなかった』だけ?



「俺は本当に知りたいだけなんだ。
俺を一生苦しませて、楽しいか?君は」

そうして私の胸ぐらを掴む。

ボタンに手をかけようとしている。

私は抵抗しようと、章の手首をぐっと掴む。


すると、章の手首から‐血が流れ落ちる。
そして私のシャツが赤く染まる。



「違う・・・」



違う、これは『幻』だ。



『あの日』の、光景だ。




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