3年後、あの約束の続き
章の手首を握ったまま、硬直してしまう。


「やだ・・・何で・・・」

血なんて流れていない。

なのに、私のシャツが真っ赤に染まっていく。



「嫌だ・・・助けて・・・・・・助けて・・・」


涙が止まらない。




「助けて章・・・」


次の瞬間‐はっとした顔を浮かべ、章は手を離した。


章が手を離すと、流れていた血の幻は消えた。


「もうやだ・・・何で・・・」

私はその場でうずくまる。


何で私なんだ。



『あの人』はどうして・・・



「何で私なのっ・・・!!!」

涙が止まらない。



すると‐頭の上に何かが落ちてくる。

章の上着だ。



「今日はこの辺にしとくよ。落ち着いたら帰りなさい。タクシーで」

章は財布から2万円を取り出て、近くに置いた。


「でもね。俺は諦めないから・・・絶対に」


そして章は、先に部屋を出ていった。
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