3年後、あの約束の続き
何とか自分の部屋まで帰ってきた。
部屋に入ると、一目散にベッドに倒れこんだ。

ずっと震えが止まらない。
タクシーに乗っている間も、ずっと震えが止まらなかった。



‐章は、あの場所に居た?


誰も見ていない。


‐いや、ひょっとしたら・・・

『あの人たち』は、知っている?


でも・・・

『あの人』には、章を知られたく…


そう思ったところで‐胃が悲鳴を上げる。


慌てて何とかトイレに駆け込み、便器に伏せる。
胃が空っぽになるまで、私は吐き続けた。


(何で・・・私が・・・)



そんな時は、お父さんの言葉を思い出す。


「大丈夫だ。今日から、『渡辺まなみ』だ。
また家族で、イチからやり直そう」


大丈夫。
きっと・・・大丈夫。


なんとかトイレから這い出して、ベッドに行く途中で力尽きた。


(大丈夫・・・きっと大丈夫・・・)


そのまま倒れこむようにして、眠ってしまった。


大丈夫、そう何度も繰り返しながら。
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