3年後、あの約束の続き
「ピー ピー」
インターホンの音で目が覚める。
飛び起きて、誰が来たのかを確認する。
すると液晶のモニターには、宅配便の配達員の人が写っている。
「渡辺さんー!お荷物3件目にお届けしますね!」
「わかりました」
インターホンの受話器を置いて、とりあえず顔を洗う。
時間は午前10時を指していた。
床に倒れこんでいた為か、体が少し痛い。
シャワーの準備をしていると、内側のインターホンが鳴った。
配達員の人だ。
ドアを開けて、サインをして荷物を受けとる。
「ありがとうございました!」
頭を下げて、爽やかに配達員の人は去っていく。
パタンとドアが閉まったところで、段ボールを開封する。
段ボールには‐花束が入っている。
花束を崩さないように、空の花瓶に立て掛ける。
真っ白いタイルのキッチンに、紫の花がよく映える。
‐紫の、杜若の花。
「行かなきゃ、な」
そう呟いて、私はシャワーを浴びた。
あと出発まで4時間はある。
少し、ベッドで仮眠をしよう。
今日は・・・この花束を持って、電車に乗る。
私は1日だけ‐毎年この日だけは、約束を破る。