3年後、あの約束の続き
章は視線を窓の外に向けた。

「ま、日本の企画部のデータ見た時、『まなみ』は誤植だと思ってたよ。
ま、再会した君の態度で・・・『記憶喪失の別人か?』と思っていたのは否定しないけど。
揺すればきっと思い出すだろうなって」

私はくくくっと笑う。

「そっか、そう演技すれば良かった」

バカめ、章はそう言って頭に手を置いた。

「俺は正確に、君のホクロの場所も言えるよ?右の首筋、左の腰に2つ、左の外側の太ももの付け根にもあるね」

引いた?そう言って章は笑っている。


「正解だけど・・・もう腰のホクロは無い」

「火傷の痕か?」そう聞かれるが、首を横に振る。


私は章に背を向け、ゆっくりと着ているものを脱いでいく。
ワンピースを脱ぎ捨て、インナーのキャミソールを脱いで、ブラも外す。
外し終わると、ゆっくりと頭だけ章の方に向けた。


「何だ・・・その傷」

そう・・・私の左の背甲骨から腰にかけて、大きな切り傷がある。


『あの日』



『あの日』につけられた、忌々しい傷。

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