3年後、あの約束の続き
ここからは聞いた話だ。
結局お父さんが到着した時は、夜の8時を過ぎていた。
そしてお父さんの到着するや否、病院を転院したらしい。


‐全ては事件を隠蔽するために。


「あの一族のお膝元と言われる病院に移転して、次の日私は目を覚ました」

目が覚めて、狂ったように暴れている私に、あの一族はこういう提案をした。


『この事件や過去のことを一切口外しない約束を守るなら、家族全員が新しい場所でやり直す場所とお金を提供する』と。


「『あの人』の父親は県会議員で、次の国会議員選に出る予定だった。
『あの人』は警察に捕まったけど、マスコミに漏らすわけにはいかなかったわけ」

そしてあの人の伯父は、野党の幹事長を長年務めている。
当時は就任したばかりだった。
なのでどうしても、スキャンダルは避けたかった。



「私達は過去を捨てて、家族でイチからやり直すことを選んだ」



徹底的に戦う方法もあったとは思う。

ただ、それよりも・・・家族でイチからやり直す方法を選んだのだ。
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