3年後、あの約束の続き
翔太が「遊んでくる」と言って出ていったので、私達は続きを話し始めた。
やっぱり空気を読んでるんだろうか、少しごめんと思う。

翔太が家を出た後、父が章に話し始める。

「章君、ごめんね。私達は・・・4人で暮らす為に、過去から逃げることを選んだんだ」

つまりのこと、そういうことだった。
私達は生まれてくる翔太の為、早く生活を立て直したかった。


「章君の事は・・・探してなかったわけじゃなかったんだよ。私達も探していたんだ」

「え・・・そうなの?」
お父さんから今まで章の話題が出たことはなかった。
正直、びっくりしている。

「あまりにもね・・・『章君が居た』って言うもんだから、本当だったらまずいなって思ってね。
 せめて健人さんの行方だけでもと思ったんだけど」

健人さんとは、章のお父さんだ。
確かに学者であるから、すぐに見つかるはずだと思うのだが。


「あーおじさん、お父さんの学者で使ってる名前、知ってます?」

「なにそれ?」
それは私も知らない。
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