3年後、あの約束の続き
「何か・・・ずっと本名とは別に、学者としての名前があるんですよ。
 海外チームと組むことが多いから、海外の人に馴染むような」

「で、おじさん何て言うの?」

「レヴィガータ・ケント」


ブ・・・と思わず吹き出してしまう。

「そりゃわかるわけないでしょ!」

章のお父さんは、本当に日本人離れした彫りの深さをしている。
(正直、阿部寛に似ている)
そしてその名前だと、普通は日本人には見えない。
そりゃ見つかるはずはない。

お父さんは、はあっとため息をついた。
「そりゃわかるわけ、ないね・・・」


章もははは、と笑った。

「俺ね、大学アメリカに進んだのも・・・この渡邊一家が見つかるかなって思って。
 何か風の噂でメキシコだの、アメリカだの行ったって言うからさ。
 アメリカのお父さんの近くに居れば、いろいろ連れてってくれるからさ」

そうだったのか。
ただ章が大学に進学する頃には、私達は日本に帰ってきていたわけだが。


「見事にすれ違いだったわけか」
私達は、ずっとお互いを探していたらしい。

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