3年後、あの約束の続き
そしてエレベーターが到着して乗ろうすると‐グループのラインが鳴った。
槁本が「フロア開いてねぇ…誰か下に居ない?」と聞いている。
まだ誰も居ないのは珍しい。


「じゃ私行ってきますね!先行ってください」
田野畑さんが返信より前にパタパタと行ってしまった。

仕方ないので私と章の2人だけでエレベーターに乗る。
幸いにもエレベーターには私達の2人だけ。


「どうですか?できそう?」
章がふふっと笑っている。


「・・・本当に余計なことは言わないでね」
はぁ、とため息混じりで思わず出た言葉。
章は余計な一言が多い。


そう言うと‐章は私の肩をぐっと引き寄せ、耳元で囁く。

「君があたふたしてるの、俺は好きだよ」


そしてエレベーターは到着し、さっさと章は出ていった。


私は振り回されている。

わがままで強引。だけど紳士の皮を被っている‐章という人物に。

完全に、だ。
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