3年後、あの約束の続き
震える手を無理矢理動かして、章からのメッセージを確認する。


『田野畑さんが、あいつに連絡取れなくなったらしいって』

『アウトレット店の話になった時、何気なくうちの部の人間がいること言っちゃったらしい』

『今どこにいる?』

『警備室が騒いでる』




携帯の画面が着信の画面に切り替わる。

章だ。
恐る恐る通話モードにして、電話をとる。


『今どこ!?倉庫に居ないよね!?』

「今9階…アウトレットのストックルームにいた」

『スガさんが探してた!あいつに似たやつマークしてたけど撒かれたらしい!!』

「えっ・・・?」


どういうこと・・・?


『俺も今3階の警備室に居る。店にも倉庫にも居ないから、みんな焦ってた』

「ごめん、今戻るとこ。裏のエレベーター近くにいる」

『とりあえず表のエレベーターに回って!俺もスガさんも合流するから』

電話は勢いよく切れて、ツー・ツーという音が流れている。


‐『あの人』が近くに居る?


‐嘘だ、そんなの・・・嘘だ。

正気を保つように、何度も嘘だと言い聞かせる。


呪文のように唱えながら、遠回りになるけど、人通りが多い表のエレベーターに向かって歩く。
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